プロセス上の位置づけ
逆止弁(チャッキバルブ)は「流体を一方向にしか流さない」箇所に設置します。ポンプの吐出側、2系統の薬液が合流する手前の各分岐、タンクの受入配管などです。ポンプが止まった瞬間、下流側の液柱が逆流し、配管内の薬液をポンプや供給タンクにまで押し戻します。圧力の異なる2系統が合流する箇所では、圧力の高い系統が薬液をもう一方の系統へ押し込みます。逆止弁は外部動力を必要とせず、流れが逆転すると自動的に閉じて、こうした逆流を食い止めます。
本シリーズは、半導体ウェットプロセス、電子材料用薬液の輸送、精密化学、医薬品製造の配管、二次電池用電解液の配管、各種の腐食性流体に使用されます。共通して求められるのは高純度と耐食性です。逆流を防ぐ部品そのものが金属を溶出させれば、配管に汚染源をもう一つ加えることになります。
主な特長
- 自力式:空気源・電源・人手による操作が不要で、順方向の流れで開き、流れが逆転すると自動的に閉じます。
- 接液部はすべて高純度PFA:流体が金属に触れません。低溶出で、FDAおよびイオン溶出試験の報告書を提供できます。
- ステンレス製外殻:SUS316L/SUS304製外殻が配管荷重を受け止め、堅牢な構造と長い使用寿命を実現します。
- 帯電防止仕様を選択可能:導電率の低い流体を輸送する場合は、帯電防止仕様を選ぶことで静電気が蓄積するリスクを低減できます。
PFA原料は清浄度の要求に応じて、国際的な大手メーカーの超高純度グレード、またはコストパフォーマンスに優れた高純度グレードを指定でき、材質証明書を提供できます。接液面は酸・アルカリ・薬液・蒸気に耐性があります。
選定のポイント
逆止弁は隔離弁ではありません。流れの方向を制御するだけで遮断は担わず、閉止時にもわずかな逆方向の漏れが生じることがあります。実際の配管では、手動で遮断できるバルブと組み合わせて使います。
| 配管上の位置 | 推奨構成 | 理由 |
|---|---|---|
| ポンプ吐出側 | 逆止弁+下流側の隔離弁 | ポンプ停止時の逆流を防ぎ、ポンプの保守時は隔離弁で遮断する |
| 2系統の薬液の合流部 | 各分岐にそれぞれ逆止弁 | 圧力の高い系統が薬液をもう一方へ押し込み、相互汚染を起こすのを防ぐ |
| タンクの受入配管 | 逆止弁+受入側の隔離弁 | タンク内の液が供給配管へ逆流するのを防ぐ |
隔離弁は流体に応じてPFAライニング フランジ式ダイヤフラムバルブまたはPFAライニング フランジ式ボールバルブをお選びください。粒子を含む流体や滞留を嫌う超純流体にはダイヤフラムバルブ、大口径で素早い開閉が必要な箇所にはボールバルブが適しています。帯電防止仕様は、導電率の低い流体(有機溶剤、超純水など)が高速で流れる配管や、可燃性溶剤を輸送する配管にお勧めします。
使用と交換
必ず流れ方向に合わせて取り付けてください。逆向きに取り付けると流体は通りません。水平・垂直どちらの配管に取り付けられるか、上下流にどの程度の直管部が必要かは内部構造によって異なりますので、お見積もり依頼時に配管レイアウトをお知らせください。フランジの締付けは他のライニングバルブと同じ要領で、PFAのシール面を保護し、ボルトは対角線の順に数回に分けて均等に締め付け、初回の昇温運転後に増し締めしてください。
逆止弁が安定して全開になるには、十分な順方向の流量が必要です。流量の少ない状態が続くと、開閉部材が半開の位置で振動を繰り返し、摩耗が早まり騒音も生じます。そのため、選定は配管径だけでなく実際の流量で行ってください。設計圧力は20 °Cでの値で、温度が高いほど許容圧力は下がります。逆止弁には外部の開閉表示がないため、「ポンプ停止後に下流側で逆流が起きていないか」を定期点検の項目に加えてください。

