プロセス上の位置づけ
このバルブは、半導体工場のCDS(薬液供給システム)の輸送配管、ウェットプロセスの超純流体配管、ディスプレイ(FPD)や太陽電池のウェットプロセスラインに設置し、開閉と隔離を担います。解決すべき課題は明快です。配管を流れるのは強酸、強アルカリ、高純度薬液で、接液面に金属があれば金属イオンが少しずつ流体に溶け出し、下流プロセスのバックグラウンド汚染になります。一方、オール樹脂製のバルブでは、フランジの締付力や配管応力を長期間受け止められません。PFAライニングは、ステンレス製外殻が強度を、PFAが接液を受け持ち、それぞれの得意分野を生かす構造です。
手動タイプはDN15からDN100までをそろえ、主配管や分岐の隔離ポイントに適しています。空気作動ノーマルクローズタイプはDN20、25、40、50で、遠隔操作や自動制御が必要な供給ポイントに使います。
主な特長
ダイヤフラムバルブの価値は、流体を弁本体の中に閉じ込め、ステムや操作部に触れさせない点にあります。本シリーズの設計のポイントは次のとおりです。
- 接液面はオールフッ素樹脂:弁本体の接液部は高純度PFAライニング、ダイヤフラムの接液面はPTFEで、流体が金属に触れません。溶出物は極めて低レベルで、適合する流体の範囲が広く、酸・アルカリ・薬液・蒸気に耐性があります。
- 1枚のダイヤフラムで遮断とシールを兼ねる:PTFE/EPDM複合ダイヤフラムは、PTFE層が流体側、EPDM層が弾性を担います。ステムが流体に触れないため、グランドパッキンからの漏れ経路がありません。超純流体を良好に隔離し、あらゆる作動状態で確実に遮断します。
- 空気作動タイプはストレート流路:デッドスペースを減らして流体の滞留をなくし、汚染リスクを低減します。ステンレス製の空気作動アクチュエーターはノーマルクローズ形で、リミットスイッチと帯電防止仕様を追加できます。
- 原料グレードを指定可能:PFA原料は清浄度の要求に応じて、国際的な大手メーカーの超高純度グレード、またはコストパフォーマンスに優れた高純度グレードを指定でき、材質証明書を提供できます。空気作動タイプはFDAおよびイオン溶出試験の報告書も提供可能です。
選定のポイント
まずバルブの種類を決め、次に手動か空気作動かを決めます。ダイヤフラムバルブとボールバルブはどちらも開閉に使えますが、流路の構造が異なり、適する流体も異なります。
| 比較項目 | フランジ式ダイヤフラムバルブ(本シリーズ) | フランジ式ボールバルブ |
|---|---|---|
| 流路と滞留 | ダイヤフラムを弁座に押し付けて遮断し、流路内に液がたまる空間がない。空気作動タイプはストレート流路 | 全開時は直管に近く、圧力損失が小さい。ボールと弁本体の間に空間があり、閉止時に流体が残る |
| 粒子を含む流体 | 適する。ダイヤフラム面に粒子がかみ込みにくい | ボールと弁座の間に粒子がかみ込み、傷やシート漏れの原因になる |
| 操作 | 多回転ハンドルでおおまかな流量調整が可能。または空気作動ノーマルクローズ | レバー90°で素早く開閉。半開での絞り運転は非推奨 |
| 呼び径と温度 | DN15 – DN100。-20 ~ +150 °C | DN25 – DN100。-20 ~ +120 °C |
手動と空気作動の選択は制御方式で決まります。自動制御に組み込む場合や、空気源喪失時に自動で閉じる必要がある場合は、空気作動ノーマルクローズ(NC)を選びます。本シリーズにノーマルオープンはありません。ノーマルオープンが必要な場合や、配管がヘルール(Tri-Clamp)接続の場合はPFAライニング ヘルール式ダイヤフラムバルブをご覧ください。大口径の隔離ポイントで低い圧力損失と素早い開閉が求められる場合はPFAライニング フランジ式ボールバルブをご覧ください。
使用と交換
設置前にフランジ規格を確認してください。本シリーズのフランジはHG/T 20592(寸法は EN 1092-1 PN16 と同じ)で、JISなど他の規格とはボルト穴の位置が一致するとは限らないため、混用はできません。PFAのシール面は運搬・設置時に衝撃や傷を与えないようにし、ボルトは対角線の順に数回に分けて均等に締め付け、一度に締め切らないでください。フッ素樹脂は荷重を受けると少しずつクリープするため、初回の昇温運転後に増し締めすることをお勧めします。
使用開始前に超純水でフラッシングし、下流の清浄度が基準に達するまで続けてください。設計圧力は20 °Cでの値で、温度が高いほどライニングが耐えられる圧力は下がります。高温・真空・熱サイクルが重なる条件では、流体、温度、圧力を営業担当にお知らせいただき、ご確認ください。ダイヤフラムは消耗品で、寿命は開閉頻度、温度、流体によって変わります。ボンネット部からの漏れやダイヤフラムの変形を定期的に点検し、交換時は同じ仕様のPTFE/EPDM複合ダイヤフラムをお使いください。



